江戸東京たてもの園散策
11月下旬、東京では1962年以来54年ぶりに雪が降った翌日、
都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園に行ってきました。
江戸東京たてもの園は、1993年3月に開園した野外博物館で、
園内には江戸時代から昭和初期までの著名な建造物が移設され、建ち並んでいます。
毎年紅葉の時期に3日間限定で開催される、夜間特別開園『紅葉とたてもののライトアップ』。
秋が深まる中、綺麗に染まった紅葉と、昼間とは一味違う表情をみせるたてもの達。
紅葉もさる事ながら、うっすらと残った雪がより一層、普段とは違う雰囲気を醸し出していました。
こちらは1937年(昭和12年)竣工の常盤台写真場。
現代においても全く色褪せる事の無い、昭和初期のモダニズム建築です。
そんなたてもの園の中でもモダンさが際立つ、建築家・前川國男の自邸。
コルビジェに仕え、多数のビルや庁舎、美術館等を手掛けた著名な建築家ですが、
個人的に最も興味深かったのが1958年に竣工された阿佐ヶ谷住宅のテラスハウス。
2013年に惜しまれつつも解体されましたが、憧れの集合住宅でした。
たてもの園に移築された前川國男邸は太平洋戦争勃発の翌年、
1942年(昭和17年)に東京都品川区にて竣工されました。
建材を入手するのも困難な物資不足の時代、
モダニズムの造形を随所に散りばめ豊かな木造空間を造り上げています。
74年前の建造物とはとても思えない、今見ても全く古さを感じさせない外観とインテリアです。
バスルームも当時では珍しい西洋スタイルをすでに取り入れていました。
白と黒を基調としたシンプルな空間に
当時の最先端技術とデザインが施されています。
メディスンキャビネットと、東洋陶器(現TOTO)のシンボルマークの入ったシンク。
こちらはキッチンで使用されているドラムランプ。
黒のタイルを基調としたトイレ。
この前川國男邸は1973年(昭和48年)に解体され、軽井沢への移築を夢見た前川國男が
建材の状態で保管されていました。残念ながら軽井沢で再建される事はありませんでしたが、
1996年(平成8年)に江戸東京たてもの園に寄贈され移築されました。
現代において昭和初期のモダニズム建築をじっくりと見れるのは大変貴重です。
当時の空気を感じながらイマジネーションを膨らませるお気に入りの場所のご紹介でした。
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